検査科 細菌検査の紹介
一般細菌検査
顕微鏡検査(塗抹検査)
喀痰・便などの検体をスライドガラスに塗り、観察しやすくするために染色して、細菌の有無や形、量などを顕微鏡で観察します。感染の原因菌が推測できる場合もあります。
培養検査
まず、患者の皆様から採取された検体を、菌が発育するために必要な栄養を含む寒天培地に塗布します。この寒天培地を適切な環境に置いておきますと、菌種にもよりますが約1日から数日で肉眼でも観察可能な集落(コロニ-)を形成します。この検査を培養検査といいます。
同定検査
「培養検査」で細菌の集落を形成させ、この集落を用いて様々な手段でその菌の性状を確認し、菌種を決定する検査が同定検査です。
薬剤感受性検査
同定検査で感染症の原因菌が決定されると、抗菌薬を用いた治療が開始されます。
同じ名前の菌であっても、効く薬が同じとは限りませんし、治療を継続する間に本来効くはずの薬が徐々に効きにくくなる可能性もあります。そこで、その原因菌に対してどの抗菌薬が効くのかを調べるための検査が薬剤感受性検査です。
抗酸菌検査
いわゆる結核菌の検査です。
結核菌は「抗酸菌」と呼ばれる菌の1つに分類され、結核の確定診断に直接つながる検査です。結核は空気感染によってヒトからヒトへ感染するため、専用の設備の中で行っています。
抗酸菌塗抹検査
顕微鏡で結核菌(抗酸菌)を直接観察する検査です。
結核菌(抗酸菌)の量や、結核菌(抗酸菌)がどれくらい外部に排出されているか(排菌の程度)を調べます。
遠心機で集菌した菌を用い塗抹検査を行いますが、染色液は抗酸菌検出専用の特殊な染色液を使用します。当センターでは蛍光染色(オーラミン法)を行い、蛍光顕微鏡で観察します。抗酸菌が存在すれば菌が蛍光色に光ります。また、確認試験としてチ-ル・ネルゼン染色も行っています。ただし、菌量が少ないと見えないこと、結核菌と結核菌以外の抗酸菌の区別がつかないことにも注意が必要です。
抗酸菌培養検査
培養検査は塗抹検査よりも感度が高く、生きた結核菌を証明する唯一の方法です。
集菌した検体を、抗酸菌が発育するのに必要な栄養素を含んだ専用の培地(2種類)に接種し、抗酸菌が発育してくるかどうかを調べます。
培養日数は菌の種類により、1日~8週間近くかかります。
抗酸菌同定・薬剤感受性検査
抗酸菌の種類、つまり菌名を決定し、有効な抗菌薬を決める検査ですが、 当センターでは行っていませんので外部委託しております。
迅速検査
インフルエンザが流行する季節、症状があって病院に行った際に、綿棒を使用した検査を受けた経験はありませんか?専用キットを用いて短時間で結果が出ます。(インフルエンザの場合は8分)このような検査を迅速検査といいます。
当検査室が行っている迅速検査は以下の項目です。
・インフルエンザウイルス ・RSウイルス ・ヒトメタニューモウイルス ・アデノウイルス ・A群β溶血連鎖球菌抗原 ・マイコプラズマ抗原 ・ クロストリジウムディフィシル トキシンA/B ・ノロウイルス ・ロタウイルス ・尿中肺炎球菌莢膜抗原 ・髄液中肺炎球菌莢膜抗原 ・尿中レジオネラ抗原 |
インフルエンザ抗原検査キット A型陽性例 |
院内感染防止対策・環境調査
細菌の中には本来有効な抗菌薬に耐性を示す薬剤耐性菌があります。現在、薬剤耐性菌は増えており、薬剤耐性菌の監視や感染防止、適切な抗菌薬使用が重要になっています。当センターでは1週間に1度、看護師、医師、薬剤師、検査技師でチ-ムを組み、薬剤耐性菌の監視、抗菌薬の適正使用などを確認しています。更に、病棟や外来など院内を巡回し、正しい感染対策が行われているかをチェックしています。また、清潔な医療環境・機器の提供の為、透析の水や内視鏡の機器などの環境調査も行っています。