サンデー健康応援講座
床ずれをつくらないために
褥瘡対策
皮膚・排泄ケア 認定看護師 宮城 陽水(みやぎ あきみ)
床ずれ(疾病名=褥瘡)は、一般的に体重の集中する部位の骨と寝具に挟まれた皮膚組織や皮下脂肪や筋肉が一定時間持続して圧迫され血流が悪くなり皮膚やその下にある組織が死んでしまう外傷のことを言います。
近年、高齢者の増加に伴い、寝たきりのお年寄りが床ずれを患う機会が多くなってきました。「昨日まで元気に歩いていたお年寄りが発熱して一晩寝込んだら床ずれが出来てしまった」というのはよく聞く話です。
床ずれは、外力(圧力+ずれ力)などの局所の原因で発生するものです。その為、骨突出部などの外力を受けやすい場所へかかる力や時間を最小限にすることが予防の上では重要となり、具体的な対策としては体圧分散寝具の選択やポジショニング、体位変換などがあげられます。
また、局所的原因の背景には加齢に伴う皮膚のバリア機能の低下や、疾患などに関連した可動性の低下などという局所以外の原因があることを忘れてはいけません。
普段から、皮膚の生理機能を良好に維持する為に保湿などのスキンケアを行う事、浮腫や関節拘縮などの床ずれ発生要因となる背景を理解し、異常の早期発見に努める事も重要です。
床ずれは一旦形成されると治療には多大な時間と手間がかかり、ご本人の苦痛と生活の質の後退はもちろんですが、社会的コストが大変かかる疾患です。
大切な方の生活の質を落とさないため、まずは床ずれをつくらないためにはどうしたらよいかを普段から皆さんで考えていく事が大切です。