研修医レポート
総合診療部臨床研修医 柄本 史麿
地域医療研修について
私は4週間の間、吉水内科及びその他の多数関連施設で、地域医療研修を行わせていただきました。
研修の到達目標である「地域医療の特性及び地域包括ケアの概念と枠組みを理解し、
医療・介護・保健・福祉に関わる種々の施設や組織と連携できる」を意識したうえで、見学及び実習に取り組みました。
まず今回の実習を通して学んだ最も重要なことは、「要支援・要介護に該当する方がどのような医療サービスや介護サービスを受けられているのか」、
また「そのサービスを受けるためにはどのような職種の方がどういった手続きを行う必要があるのか」についてでした。
普段の研修は主に救急外来や急性期病棟で行うことが多く、患者さんの疾患について深く考えることはあっても、
その方の退院後の生活までは考える機会はほとんどありませんでした。
そのためグループホームやケアハウスなどの地域包括ケアを支えている施設に関しての概要について理解が追いついていませんでした。
なので、今回実際の施設を多数見学させて頂けたこと、吉水理事長から直々に施設についてご説明して頂けたことは、
今後地域医療を行っていくうえで大きな糧となりました。
また、今回様々な施設を見学させて頂きましたが、特に印象に残っているのは「特別養護老人ホームフェニックス」で
職員の方や入居者さんからお話を聞けたことでした。いわゆる特養は原則要介護3以上で65歳以上の方が対象で、
24時間体制で介護が受けられ、看取りまで利用可能であることを特徴としています。
それでいて民間のサービスと比べて安価であることから、入居待ちの方が何十人とおられると聞き驚きました。
しかしそれほど需要がある一方で介護に従事しておられる方の数は多いとは言えず、その中で運営を滞りなく進めるために、
施設長をはじめとする職員の方々が、求人や勤務形態、物の配置などにおいて様々な工夫をされていることを知ることができました。
また、施設の機能的な側面だけでなく、職員と利用者の人対人のコミュニケーションを見ることにより、より具体的なイメージを持つことができました。
今後の診療を進めていくうえで、適切なプランニングを提案する際に活かしたいと思います。
あとは様々な職種の方と関わるうちに、その職種の方の専門性の高さや、その職種ならではの視点があることを感じました。
例えば児童発達支援事業所に訪問した際に未就学児との触れ合い方に私は苦戦したのですが、
職員の方は安全面に配慮しつつ教育的な目線で接されていて、大変勉強になりました。
また包括支援センターでケアマネージャーとお話しさせて頂いた際にも、ケアプランについて様々な観点からお話し頂き、学ぶところが大きかったです。
正直これらの目線を私一人で持つのは非常に困難だと思います。
だからこそ日頃より多職種の方とのコミュニケーション関係を良好にすることが大事なのだと考えるきっかけとなりました。
患者さんのために実現したい医師としての人生
臨床研修医としての業務がスタートして約2週間が経ちました。
まだ分からないことが多いながらも、明らかに学生の時とは違う責任感を感じています。
また、学生時代の実習では鍛えることができなかった臨床推論能力を高められるよう、
そして患者さんにより良い医療を提供できるよう日々の研修に努めていきたいと思う所存です。
昨今ではインターネットの普及により容易に疾患や薬剤についての情報を得ることができます。
それらは患者さんにとって極めて有益であることは言うまでもないですが、その一方でそれらの扱い方が難しいのもまた事実で、
患者さんのなかには必要以上に不安を感じていらっしゃる方が少なくないと感じました。
私はそのような不安に真正面から向き合えるような医師になりたいと思いました。
そのためには、普段から新しい情報に対してアンテナを張り続ける姿勢や、
他者に対する思いやりを持ち続けることが必要不可欠であり、その気持ちを忘れずに色々なことに取り組みたいです。
今は2年目の先生方の助けによってなんとか業務が成り立っている状態ですが、
来年には自分が後輩を助けられるような先輩になれるよう日々を充実させたいと思いました。