研修医レポート
総合診療部臨床研修医 井浦 直人
研修2年目にかける思い
研修医2年目としての抱負は大きく2つあります。
まず1つ目は、3年目以降も医師として必要なスキルの向上に努めることです。
病棟管理や当直業務は研修医生活を終えてからも必須のスキルです。
またそれと同時に3年目からは主治医としての役割を担い、責任が求められます。
その前段階である今年に上級医の先生方のもとで、より深く広く医療知識を学び、成長していきたいと考えています。
2つ目の抱負は、後輩たちの模範となる先輩になることです。
私自身も1年目の頃は当直業務をはじめ様々な業務に対して不安や緊張がつきまとっていました。
今の1年生も同様に右も左もわからない状況にあると考えます。
そんな中で、私が過去に先輩方から受けたように丁寧な指導やサポートを提供し、
後輩たちが安心して成長できるよう努めていきたいと考えています。
私の背中を見て、1年目が安心感と向上心を持つことができるような先輩になれるよう努めていきます。
辛苦を超えた喜びの1年
この1年で苦労したことの1つは救急現場でのCT画像の読影です。
国家試験では、病変のあるスライドが提示されており、全部のスライドを見る必要がありませんでした。
そのため、最初の頃は撮影後も画像を軽く見るだけで満足し読影を待っていました。
しかしこの受け身の姿勢がある日大きな問題を起こしました。
その日はERが混んでおりショック状態の患者さんを1年生中心に診察していました。
CT撮影を終えた後、私たちは画像を深く確認せずに読影を待っていました。
しかし、実際には画像ではfree airを認めており消化管穿孔による敗血症性ショックが起きていたのです。
その後、松本Drから「この画像を見て穿孔に気が付かないのは勉強不足だ」と厳しいご指導を受けました。
この日を境に自分の読影力不足を痛感し勉強をする決意をしました。
松本DrからIDを教えてもらい、主訴と検査結果を元にCT画像を自分なりに読影していきました。
最初はレポートで指摘されたコモンな病態を見逃すことがあり落ち込むこともありましたが、
辛抱強く続けることで徐々に成長を遂げていきました。
現在では非番の日にも自分が読影した所見を上級医の先生方にコンサルトできるようになりました。
自分なりの読影をカルテに残し後日放射線科の先生と同じ指摘ができた際には、大きな喜びを感じます。
読影に限らず努力し学び続けることは研修医の本分です。残り1年も全力で様々なことを学んでいきます。
患者さんのために実現したい医師としての人生
「患者さんの心に寄り添い、常に最新の医療知識を学ぶ向上心を持ち続ける人生。」これが私が患者さんのために実現したいと考える医師としての人生です。
私は患者さんが病気になるときは身体的な痛みや不快感はもちろん、心理的な負担やストレスを抱えていることが多いということを理解しています。
そのため、患者さんの心に寄り添い病気に対する不安や心配を共有し、共に考えることが必要だと考えています。
その際にただ相手の気持ちを受け止めて理解しようとする「シンパシー」ではなく、自分も同じ価値観、意見であると
相手の気持ちに同意する「エンパシー」を持って実行していきたいと考えています。
しかし、患者さんを思いやる心だけでは病気を治癒することができないことは事実です。
患者さんの病気に対する適切な知識や技術が必要不可欠となります。
医学は常に進歩しているため、医師としての知識や技術を常にアップデートする必要があります。
若いうちには恥ずかしさや失敗をに恐れることなく同僚や上級医から様々なものを吸収したいと考えています。
また、医師として一人前になった後にも自分の力に慢心することなく最新の医療情報を学んでいきたいと考えています。
このように思いやる心とたゆまぬ向上心を持ち続けることで、患者さんに最高の医療を提供できるように努めていく所存です。