研修医レポート
総合診療部臨床研修医 金子 梨恵子
自己実現に近づけた2年間
関門医療センターの研修医としてこの2年間で医学や臨床の基礎を多く学ばせていただきました。
この病院で研修を行えたことは自分にとって大変貴重な経験であり、感謝の気持ちでいっぱいです。
研修が始まった当初は自分が決めた診療方針や手技に自信が持てないことも多々ありましたが、多くの方々にアドバイスをいただき徐々に成長できたと思います。
当直などで診療を重ねるごとに、目の前の診療だけでなく「自分が患者ならどう思うか」ということを考えて診療を行うことができるようになったと思います。
手技も多く経験させていただき、不器用な自分に対しても上級医の先生方は優しく指導してくださいました。
研修医同士で切磋琢磨しながら有意義な研修医生活を送ることができたと思います。
来年度から専攻医となり、研修医とは違ったフィールドで働くこととなります。
初心を忘れずに、患者さんやご家族に寄り添った医療を提供できるような医師になりたいと思います。
地域医療研修
私は8月の1か月間、下関市長府にあるまつなが医院で地域医療研修を行いました。
研修中は在宅診療に同行させていただく機会が多くありました。
在宅診療ではがんの終末期や廃用が進んだ方が多く、急性期の治療よりは定期的な体調確認や薬剤調整が主でした。
こうした長期に渡る診療では、今後通院できるよう支援していくのか、状態が悪くなっても自宅での診療を希望するのかなど、ゴール設定を行うことが非常に大切です。
松永先生は在宅診療を行う上で、患者を含めた「家族会議」を行って目標設定をし、それに基づいて診療を行っていました。
食い違いや急変時に誤った対応が起きないよう、早い段階で「家族会議」を行って方針を固めておくことが重要だと実感しました。
また、まつなが医院の連携施設内では定期的にオレンジカフェを開催していました。
オレンジカフェとは、認知症の方やその家族、地域住民などが気軽に集まれるカフェです。
見学に伺った際は大勢の方が参加されていて、発声しながら体を動かしてリハビリを行い、終了後は会話やお茶を楽しまれていました。
健康寿命を延ばすためにも、オレンジカフェといったリハビリや交流の場が多くの方々に認知されればいいなと思いました。
この度の地域医療研修は地域での健康管理や疾病予防について考える良い機会になりました。
この度の研修で得た経験を活かして診療に励んでいく所存です。
研修2年目にかける思い
気づけば入職してから1年が経過しました。昨年度は仕事を覚え、診療を滞りなく行うことで精一杯でした。
ただ当直や診療を重ねるとともに、少しは心の余裕が出てきて様々な方面に考えを巡らすことができるようになってきたと実感しています。
診療中はどうしても目の前の状況だけに注目しがちですが、初療を終えて今後どう治療を継続していくのか、
リスクのある方に対してどう発症の予防策を講じればいいかなど長期的な計画は非常に大切です。
診療が忙しい時でも、患者さんの問題点を拾い上げて抜けのない対応ができるように2年目は修練していきたいと思います。
また、勉強面でも3年目以降の自分の姿を想像しながら欠けている知識を埋めることも目標の一つです。
関門医療センターではどの先生も質問に丁寧に答えてくださり、研修医にとっては本当に恵まれた環境です。
専門の診療科に進んでからは後輩を指導することが多くなると思いますが、今のうちに知識や手技などできる限りのことを学べればと考えています。
まだまだ未熟でありますがこの1年でさらにスキルアップできるように励んでいきたいと思います。
辛苦を超えた喜びの一年
気が付けば時折春の陽気を感じる季節となってきました。
入職してはや10か月経ち、0からスタートした4月と比べると自分で考えて動けるようになってきましたが、まだまだ未熟さを痛感する日々です。
当直では患者さんの主訴を聞き、問診、身体診察などを行った上で追加の検査を行います。
当初は2年目の先輩に教えられた通り、おおよそ決まった検査をオーダーしていたのですが、最近は本当に必要な検査なのか吟味したうえでオーダーできるようになっていきました。
知識不足で当直中に調べながら対応することもありますが、迅速に的確な判断ができるよう日頃からしっかり勉強していかなければいけないと思います。
この一年、辛いことも嬉しいことも多くありました。
忙しい日々の中で同期や二年目の先輩、上級医の先生方に助けられて成長できたと思います。
関門医療センターで研修を行えて本当に良かったと感じています。
二年目も充実した研修が行えるよう努力していきたいと思います。
半年の節目に
働き出して半年が経過し、朝晩が冷え込む季節となりました。
振り返ってみれば4月は何をするにしても初めてでしたが、色々な科を回り多少は業務にも慣れてきたかと思います。
現在は循環器内科を回らせていただいていますが、病棟管理の奥深さや難しさを実感しています。
入職当初は、疾患の治療をすれば患者さんは元気になると簡単に考えていました。しかし、治療に加えて、
栄養指導やリハビリ訓練などを上手く取り入れることで患者さんの健康状態が改善するのだと学びました。
同時に、多くの職種が連携して医療は成り立っているのだとも実感しました。
ただ、どれだけ多くの方々が頑張っていても上手くいかないこともあります。
患者さんの状態が思うように改善しなかったり、順調に経過していたように思えても急変したりすることは少なくありません。
実際に、元気に退院できると思われた患者さんが急変してしまい、そのまま亡くなってしまうこともありました。
事前にもっと良い対応ができたのではないかと今でも思い返します。
一方で、呼吸状態が悪く、生死をさまよっていたような患者さんが、治療の末に笑顔で話せるようになった時は非常にやりがいを感じます。
一つ一つの経験を大切にし、次に活かせるようにしていきたいと思います。
まだまだ勉強不足や経験不足を痛感する毎日ですが、これからも精進して参りたいと思います。
患者さんのために実現したい医師としての人生
臨床研修医として働くにあたって、学生の時とは違う責任感も生まれ、身の引き締まる思いです。
2年間の臨床研修を通して、しっかりと患者さんに向き合いながら、最善の医療が提供できるように努めていきたいと思います。
大学生活を通して、病院ごとに地域の中での役割があることを知りました。
学生の時に実習を行っていた大学病院では、県内の様々な地区から患者さんが来院されていました。
それに対し、下関の地域支援病院である関門医療センターでは、下関というより狭い範囲で患者さんに関わることが多いと思います。
そこで関門医療センターで働くにあたっては、下関に住む患者さんたちがどのように感じており、どういった医療支援が必要なのかを考えることが大切です。
これは病院に限らず、職種ごとにも役割があり、それぞれが連携することでより良い医療が提供できるようになります。
患者さんの気持ちに寄り添いながら、病院単位や個人単位での役割を意識して、周囲とのコミュニケーションを取りながら診療していけるような医師になりたいと思います。
まだ働き出して間もなく、周りの方々から手取り足取りで業務を教わっている状況です。
できるだけ早く下関の医療を支える力になれるよう、頑張っていきたいと思います。