サンデー健康応援講座
当センターにおけるがん診療について


外科医師 蘓村 秀明(そむら ひであき)
がんは1981年以来日本人の死因第1位であり、その原因として高齢化や難治性の癌の増加が挙げられています。治療成績はがん種によって異なるものの、向上しています。
例えば大腸癌の切除不能・再発症例の平均寿命は30年前では12ヶ月が現在では30ヶ月以上になっています。胸腔鏡や腹腔鏡などの鏡視下手術は術後経過を改善しより体の負担を軽減するだけでなく、次の治療に早く取りかかることが出来るようになったことも利点と考えます。
ただ、ほとんどの抗がん剤は副作用があり、その内容や程度に個人差があることを正しく知ることで予後の改善が期待できます。しかし、予後を改善する究極は「早期発見」と「がんになりにくいように心がけること」が重要です。特にタバコはすべてのがん(勿論脳・心血管系や代謝性疾患などありとあらゆる疾患)の危険因子であり、やめることが重要です。
がん治療は手術、抗がん剤、放射線の各治療を連携して行うことが重要です。また、がんに関する診療は外科のみならず、複数の科で担当するため、各科の緊密な連携が必要です。
私たちは目の前にいる患者さんを中心に、そのご家族も当センターや地域の医療施設とともに支え合う「Team KANMON」として取り組んで参ります。
日本人のためのがん予防法
喫 煙 | タバコは吸わない。他人のタバコの煙を出来るだけ避ける。 |
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飲 酒 | 飲むなら、節度ある飲酒をする |
食 事 | 食事は偏らずバランスよく摂る *塩蔵食品、食塩の摂取は最小限にする *野菜や果物不足にならない *飲食物を熱い状態で摂らない |
身体活動 | 日常生活を活動的に過ごす |
体 型 | 成人期での体重を適正な範囲に維持する(太りすぎない、痩せすぎない) |
感 染 | 肝炎ウイルス感染の有無を知り、感染している場合にはその治療の処置をとる |
ちなみに外科医の取り巻く環境は一層厳しさを増しています。10年前と比べ、医師総数、小児科医、産婦人科医は増加しているのに対し、外科医は減少していること(28,097→28,043名)、消化器・腎・子宮の悪性腫瘍手術件数は1996年の3万605件が2014年は5万6143件と増加しています。