サンデー健康応援講座
要介護にならないために運動で予防しよう!
理学療法士長 田上 幸生(たのうえ ゆきお)
65歳以上の方が総人口に占める割合が7%以上の社会を高齢化社会、14%以上を高齢社会、21%以上を超高齢社会と呼びますが、日本は世界に例を見ない早さで超高齢社会に突入しました。この流れに対応するために、2000年度から介護保険制度が導入されていますが、少子高齢化がますます進むなどの諸々の社会情勢を背景に、さらなる変革の時期を迎えています。
2025年には団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれています。
可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築が進められているところです。
この地域包括ケアシステムにおいて重要なテーマの一つが「介護予防」で、その手段の一つに「運動」があります。なるべく介護を必要とせず元気に暮らせる健康寿命を伸ばしていけるように、安全に配慮しながらしっかり身体を動かしていきましょう。
今回の講座では、山口県と3つのリハビリ専門団体(山口県理学療法士会、山口県作業療法士会、山口県言語聴覚士会)が協力して作成した「介護予防支援のための指導者マニュアル」を参考にして、介護予防のための運動を紹介しました。
運動を考える視点は多岐にわたり専門的な内容も含みますが、基本的には次の3つの機能で考えれば、ほとんど全ての運動を説明できます。
それが、①支える機能、②振り出す機能、③重心を動かす機能、の3つです。例えば、重力に負けずに身体を支えて立ち、片方の脚に重心を動かして、フリーになったもう片方の脚を前に振り出せば歩けます。この3つの機能を高めていけば運動機能が向上し、ひいては介護予防につながります。是非この3つの機能を念頭において、個々の運動プログラムについては上記マニュアルを参考にして、元気な暮らしを続けていただきたいと思います。
※上記マニュアルは山口県のホームページからダウンロードできます