研修医レポート
総合診療部臨床研修医 室田 啓介
自己実現に近づけた2年間
進む診療科 形成外科
この診療科を選んだ理由
元々医学部に入り直した理由が自身の口唇口蓋裂があったからです。
この経験を生かして患者さんによりよい医療を提供できるようになりたいと思い形成外科を志望しました。
関門で印象に残っていること
関門で当直や各診療科をローテンションする中で終末期の患者さんや、認知症、生活保護の方など社会的な背景を抱えた患者さんを診療することがあり、
上級医の先生方や地域のクリニックの先生にも相談させてもらいましたが未だに答えは出ません。
研修をさせていただく中で、こういった答えの出ない貴重な課題を日々考えさせていただき、
学生時代には持っていなかった患者さんの背景を考慮するといったことが少しだけできるようになったと思います。
研修医らしく純粋に先生に疑問をぶつけることができる環境があったことはとてもよい経験となりました。
目指す医師像
患者さんに先生にみてもらってよかったと笑顔で言ってもらえるような医師になることです。
地域医療研修を終えて
この度私は、地域医療プログラムでまつなが医院にて一ヶ月間研修させて頂きました。
まつなが医院では、なんでも相談のできる「かかりつけ医」として内科一般診療をはじめ消化器・内視鏡診療、糖尿病専門外来と
広く診療を行い地域医療に心血を注いでいらっしゃいます。
山口県下関市は人口約25万人、高齢化率35.4%と急速な少子高齢化の進行や人口減少を背景に対応が困難な複合的な福祉課題、
生活課題が顕在化しています。
とりわけ、人間関係の希薄化を背景とした高齢者、障害のある人などの地域からの孤立、
介護など複数の問題を同時に抱えた生活困窮者等に対する支援が必要とされています。
そんな中、松永先生は特養、老健、サービス型高齢者住宅といった介護施設を中心として、
また25才から94才まで幅広い在宅診療を行っていらっしゃいました。
在宅の中心の松永先生の訪問診療を多く経験させて頂き、お忙しい中、
先生には沢山の在宅診療に関する問題点をご教授頂き大変勉強になりました。
医療的支援も介護介入も不十分で宙に浮いた状態である高齢者の方や他施設では対応困難とされた方がいらっしゃいました。
先生は常々「愛がないよね」と嫌な顔ひとつせず新規訪問診療されていました。
訪問介護ステーションからの信頼も厚く、先生の下には様々な相談が日夜入ります。
地域から信頼され、家族・患者さんの目線になり一緒に考えることができる理想の医師像をこの肌で感じることができました。
多死社会を迎えた現在、人生の最期を社会的課題がゆえに心残りとなるようなことはあってはならず、
本人および家族の双方にとって納得のいくものであって欲しいと、研修を通して感じました。
一人ひとりの自分がどのような最期、豊かな死を迎えたいかの思いを尊重するには、
最期の迎え方に関する家族等とのコミュニケーションである「人生会議」を推進する重要性を学ぶことができました。
患者さんのために実現したい医師としての人生
研修医生活が始まり、はや2ヶ月が経とうとしています。
この2ヶ月は学ぶことが非常に多くありました。
最も大きな成果は医師として足りないことがまだまだわかっていないことがたくさんあり、
成長のためには生涯学習の姿勢を持つことが重要であるということです。
学問的なことはもちろん、手技、患者さんへの思いやりのある接し方など積極性を持って今後も貪欲に、
なおかつ謙虚に学んで参りたいと思っています。
将来なりたい医師像は医学部に入学しようと決めたときと変わっておりません。
それは患者さんの身体的な苦しみだけでなく心のケアまでできるような医師になることです。
実際、昔私が入院していたころ医療スタッフの皆様方から大変励ましていただいたことがあり、それが現在の私に至っています。
この2ヶ月でも患者さんのケアというのは医師だけではなく様々な方の協力の元で成り立っているだと感じております。
れからも医師の方々だけではなく、看護師、作業療法士、理学療法士、栄養士、薬剤師、検査技師、
ソーシャルワーカーなどの様々な方々から様々なことを教えていただきたいです。
生涯学習の姿勢と思いやりの気持ちをいつまでも忘れないようにいることが私のなりたい医師像だと考えております。